「脳の神経伝達物質と行動との関係」

セロトニンの話をアップします。

 

同じような話を最近の講演会でしています。参考になれば幸いです。
人間の脳の中でセロトニンの働きはとても大切です。
  ・ 脳幹の縫線核から脳の広い範囲に結合している。
  ・ セロトニン神経は一定の頻度でインパルスを出し続ける。
  ・ 覚醒時にはセロトニンの分泌が脳全体におこり、脳内のセロトニン濃度が一定に保たれる。

 

すなわちセロトニン神経は
  ・ 脳全体を覚醒状態に保つ。
  ・ セロトニン神経は覚醒を演出する。
  ・ 元気の状態を演出するわけです。
セロトニン神経は心身がスムースに活動できる準備状態を作るので、覚醒するとセロトニンは規則的なインパルスを出し続ける。これは車にたとえるとアイドリング状態です。朝の目覚めとともに、セロトニン神経が活動すれば、寝起きのよい爽快な心身の状態が作られるのです。

 

 脳内アミンはあと2種類あります。ノルアドレナリンとドーパミンです。この2つの神経で加減速します。ドーパミンで加速し、ノルアドレナリンで減速するのです。

 

アイドリング状態が作れないとキレやすくなります。
 たとえばアイドリングが十分でないと寝起きが悪くなるし、1日中すっきりしない状態になります。ちょっとしたことでも興奮する。キレやすくなる。すっきりしない気分に興奮しやすい状態が重なり、夜はよく眠れない状態になるのです。

 

自閉症児のかんしゃくはセロトニンの代謝のトラブルです。自閉症児には睡眠障害も良く見られます。

次のことをすればセロトニン神経は弱っていきます。
   1) あまり歩かない
   2) 硬いものを食べない
   3) ストレスだらけで息を詰めて仕事をする
   4) 昼夜逆転で太陽の陽をあびない
   5) ゲーム漬けの生活をする
   6) 閉じこもって生活をする

セロトニン欠乏の症状
   ・ すぐキレル
   ・ 摂食障害
   ・ 過食
   ・ 拒食
   ・ パニック障害
   ・ うつ症状
   ・ 睡眠障害(眠れない)
   ・ 寝覚めがはっきりしない

セロトニンが欠乏すると筋肉への影響もでます。正しい姿勢、精悍な顔つきは抗重力筋がしっかりと収縮するおかげです。抗重力筋とは次の筋肉にあります。
   ・ 首筋
   ・ 背骨のまわり
   ・ 下肢の筋群
   ・ まぶた
   ・ 顔面の筋群

 

セロトニンは運動神経を刺激して興奮レベルを上げるので、セロトニンが弱まると、背中が曲がり、目元に力がなく、顔に張りがなくなります。セロトニン神経の弱い子の診察時の姿勢は腰かけにもたれてだらっとしています。
反対にセロトニンが鍛えられると、禅僧(モデル)のように背筋が伸び、顔にしまりがでます。

 

感覚への影響もあります。セロトニン神経の弱っている子は痛み刺激に弱く、注射で泣き叫ぶようになります。セロトニン神経の活性化で鎮痛効果が現れます。「心頭滅却すれば火もまた涼し」といいますよね。

セロトニンの増やし方
 適度な運動と食事、早ね早起きが基本です。

 

 リズム運動が大切で腹式呼吸、ウォーキング、水泳、エアロビクスなどがよいでしょう。子どもさんには、泣くこと、お乳を吸う、ハイハイ、咀嚼運動、歩行運動、駆け足、遊戯、自転車こぎ、水泳(バタ足、クロール)、音読、歌を歌う、太鼓たたき、手まりつきなどがよいでしょう。

 

セロトニンを増やす食事
  トリプトファンを多く含む食材をとる
  バナナ、大豆、大豆製品、乳酪製品ということです。

 

脳内でのセロトニンの合成と代謝を助けるのは
  ビタミンB6、マグネシウムです。

 

トリプトファンが脳内に取り込まれるのを促進するのは炭水化物
結局、バランスよく食事をすることが大切になります。
最後に脳内アミンと関係した病気を簡単に示します。

 

脳内アミンの障害と神経疾患
#ドーパミン神経障害
  ・ ADHD (注意欠陥・多動性障害)
  ・ Tic (Gilles de la Tourette 症候群) ノルアドレナリンも関係する
  ・ 吃音 Stammering
  ・ パーキンソン病

 

#セロトニン神経障害
  ・ Down 症候群
  ・ Depression (うつ病)

 

#ドーパミン+セロトニン神経障害の疾患
  ・自閉症

 

#ドーパミン+セロトニン+ノルアドレナリン神経障害
  ・Rett 症候群 

 

 以上、脳内のアミンの話です

特に大切なセロトニンの話でしたが、わかりましたか?

理解しにくいときは講演を聴いてください。

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